2024年9月から霞が関の派遣制度で、英国のオックスフォード大学のブラヴァトニク公共政策大学院(Blavatnik school of government, BSG, University of Oxford)の留学に家族4人できています。渡英までのプロセスはこちらに記しました。
なお、上の記事の冒頭にはこのように書きました。
世界最高峰の研究機関に、周囲からの多大なサポートのおかげ、家族みんなで来ることができて、心から嬉しく思っています。そして、毎日一緒に生き抜いてくれている相方に心底感謝です。私のキャリアに限らず、家族みんなにとって、「この10年間、日本国内いっぱい経験したから、次は世界に挑戦してみたいよね」という合意のもとJALに乗りました。なので、この生活が現時点では「一生に一度」とは思っていませんが、もちろん一生に一度かもしれないと言う思いで毎日勢いよく過ごしていきたいと思っています。
オックスフォード大学は900年前にできた大学で、一か所にまとまった「キャンパス」のようなものはなく、オックスフォード市内に約40のカレッジ(学寮)と学科の建物・敷地が高密度に点在しています。街中どこを歩いていても大学関係の建築があるので、街の中に大学があるのではなく、大学の中に街がある、とも言われます。結果として、広大な総面積と、研究資源、カレッジと学科双方からの学生へのサポート、多様性を実現できていることも、この大学の評価につながっているように思います。各カレッジがお城のような建物とやけに綺麗な芝生の庭があって街を埋め尽くしていることは、この人のドローン映像を見るとよくわかります。
そして、怒涛の1学期目”Michaelmas Term”(9月~12月)が終わりましたので、お知らせいたします。
↓公共政策大学院の校舎内
学期前から明らかなエナジー
私が在籍しているコース、Master of Public policy (MPP)は、2024年度でいえば、156名・61カ国から学生が集まる非常に多様なコースです。この多様性がものすごいエネルギーを持っていて、多様、Diversityという言葉は英国に来て3ヶ月間で明らかに最頻出ワードとなっています。
渡英の数ヶ月前に、オンラインで合格者向けの説明会が開催され、その時のZoomのチャットに、Whatsappグループ作ったから入ってねーと同級生になる予定の人から流れてきたので、深く考えずに入りました。そこからの「事前に近い国・地域の人で集まりましょう!」「興味分野ごとに小グループ作って話しましょう!」といった連絡が毎日止まることなく流れてきて、その熱量が日本にいる時点でかなり伝わってきました。今なら確信を持って言えますが、このMPP、BSGのコミュニティにおいては大多数のメンバーが、経済的に、またはキャリア、家族や子育てなどなど、ものすごいリスクを背負ってきていて、この短い1年間の価値を最大化するためなら何でもする、という覚悟を感じます。その発端を渡英前から如実に感じて過ごしていました。
Induction week
9月30日、ついに初日を迎えました。斬新な建築の校舎に、世界中からの面々が一堂に介しました。ここから、2週間は授業が本格的に開始する前の、導入の時間であるInducition Weekでした。”MPP as a Team sports”という標語で、極めて多面的なグループでの活動が盛り込まれていました。Rowing(ボート)のシミュレーションレース、2日間で一気にリサーチをしてプレスブリーフィングをするWS、Public Communicationの授業、公園で全員目隠しをしてロープで正四角形を作るWS、学生と教員混合で各グループで1分の砂時計を回していって時間内に自分の考えをシェアする時間12人グループ×7セットぐらい?、とかなり濃密でした。
「同級生156名、61カ国」の実相が見えてきました。今年はUSが多く17名、次にインド13名、そしてオーストラリア8名、日本8名と続くので、日本はかなり多い方です。多そうな英国人や中国人は4人ずつでした。
職種は僕の目と耳のみで調査した結果、政治家やEconomistを含むCivil Servants系が3割、NGO・NPO・Activist系が3割、ジャーナリスト・弁護士・医師等が3割、学部上がり・コンサルが1割ぐらいな気がします。そして各個人を見ると、究極の「何者か集団」です。
- マレーシアの中央銀行
- 南スーダンの元大臣
- 韓国の経産省
- ジンバブウェの国会議員
- アフガニスタンの起業家
- USの陸軍士官学校
- 台湾の活動家
- コロンビア人のOECD職員
- ピューリッツァー賞受賞のミャンマーのジャーナリスト
とあげれば、キリがありません。先日、ウガンダ人の環境活動家の同級生(28歳)がエジンバラ大学から名誉博士号を受け取った時は心底驚きました。
これも知らされてないので、私の感覚で、平均年齢30歳ぐらい。21歳の学部上がりから、シニア公務員までいました。
Induction week途中の金曜日にはReceptionパーティが開かれ、家族も招待されました。この時に、コースディレクターが言ってくれた「ここは学生本人だけではなく、家族の皆さんにとってもホームです。それは文字通り真実です」という言葉は非常に嬉しく思いました。
育児 how I manage
パートナーと小さい子どもを2人連れてきているわけですが、英国では育児に対する負担の認識が日本よりも常識となっているようで、ことあるごとに、そんな大変な状況で大学院に来て、”How do you manage?”と千回ぐらい聞かれました。回答としてはManageできていない、が正しいのですが、家族4人どうにかここまでSurviveできました。
一番最初に自転車を買いました。娘にとっては日本でずっと憧れていた子乗せ自転車だったので、自分のヘルメットも手に入れて、かなりハッピーなようでした。
英国に到着した翌々日から2歳の娘を保育園に入れました。幼児の言語習得スキルを完全に信頼し切って、事前に何の英語の勉強もせずに突入しましたが、日本の保育園から一気に環境が変わったことも相まって、最初の1ヶ月ちょっとは、最大級の拒絶をしていました。2歳6ヶ月で渡英した娘が、思っていたよりも日本語の習得が早く、おしゃべり大好きだったので、それが一気にリセットされたのも大変だったのだと思います。毎朝5時過ぎになると「保育園行きたくないよ」とすすり泣きながら起床し、絶叫する本人を自転車に乗せ、泣き喚くのを引き剥がして、預ける、そしてお迎えに行くとパニックになりながら走ってきて、また泣いている、家に着くとホッとする、という毎日でした。
1ヶ月ぐらいしてから、送迎の時は大変にエモーショナルですが、日中はそこそこ楽しんでいるようでした。日本の時とは違って、アプリでリアルタイムで写真が送られてきたり、今ご飯食べたとか、オムツ買えたとか、寝た、とか報告が来るので、それも非常に安心です。(それでも割と最近まで娘は全く寝ずに、スタッフさんたちはかなり大変そうでした、、)
使ってくれたのかわかりませんが、娘のよく使う日本語や歌、してもらったら嬉しいことをワンペーパーにまとめて渡したりしました。また、休日にMPPの家族づれのメンバーと子ども同士で遊んだり、偶然講演で保育園の友達に会ったりして、親もいて安心できる環境で、外国人のお友達と楽しく過ごす経験を数回重ねたことも良かった気がします。2ヶ月経った今は、明らかに保育園大好きで、朝7時半の朝ごはんから、最大18時まで、いっぱい遊んでいます。夕方にはお友達のDaddy, Mommyがお迎えに来たお友達の荷物をドアまで持っていく役割が気に入って、せっせと運んでいるようで、スタッフには”She is helpful”と言われています。土まみれだったり、絵の具や色がついた液体でびちゃびちゃして遊んだり、日本の時よりも遊びのコンテンツがかなりフリーダムで保育園も汚れを気にしないので、それも我が家としては好印象です。しかし振り返ってみれば、誰よりも英語に触れる環境で一人で本当に偉いと思います。
第二子の息子は、5ヶ月で渡英してきましたが、フリーランスの妻が、徐々に仕事の数を増やそうと模索しながら自宅でケアしてくれています。時々、私の昼休みや、授業が終わったタイミングで帰宅し、バトンタッチしています。本人は大体ニコニコしていて、とてもPeacefulな赤子で、またアジア人の乳児も珍しいのか、街中では非常に好評です。こちらの褒め言葉は”Beautiful Baby”です。またBSGの校舎(に限りませんが)は非常にInclusiveで家族であればいつでも入れてくれます。家が近いので、妻子も時々散歩の休憩がてら入ると、家に遊びにきたことのある同級生やらが一目散に駆け込んできて、非常に人気者で、”I have to absorb the good hormones from the baby.”などと言われて、重要な役割を担っています。
パートナーと保育園のおかげで、私の学業は成立しています。一方で、優先順位はやはり家族の安全や健康にあるので、無理はできません。後述しますが、大学院は必須のModuleに求められる時間もかなりありますが、加えてOptionalな要素もかなりあります。ここは思い切って、Optionalなものは基本切り捨ててModuleに集中する、というのは私の選択です。(それだけで相当な勉強量と刺激)
逆に家族が一緒に来てくれたからこそ、家に人を呼んだり、ご飯を振る舞えたり、じっくり話ができたり、おかげで出会いが深まっています。
必修科目 Core module
初学期の必修授業は3つあり、選択授業はなくて、これが全てでした。それぞれ講義があって終了ではなく、予習、講義、別日に中グループでのケーススタディ、別日に小グループでのセミナー、といろんな形式で学びを深めていくので、ほぼほぼ週5のフルタイムジョブでした。
- Foundations
- 政治哲学の授業です。今後学ぶ経済学、政治学、法学、その他の応用科目の全てに通じるので基盤だったと思います。Jo Wolffというこの分野で権威となっている教授を筆頭にカリキュラムが組まれていました。講義は毎回、理論の講義とより実際の社会課題に関する講義の二本立てでした。定番の功利主義の話から、不平等、人権、民主主義、と言った話と、フェミニズム、移民、ポピュリズム、と多岐に渡りました。
- 印象に残っているケーススタディは、ブラジルで深刻な問題となっている(大統領選の結果を左右している)AIを活用したフェイクニュースの拡散について、ブラジルの司法機関の1つである選挙委員会(というのが仕組みがまた日本と全然違う)が、司法の事後的な処理では対処不可能であることから、BigTechなどの企業に投稿を監査するなどの責任を負わせる決議を出したことについて、「どのようにこの決議は正当化できるのか」「どのように言論の自由に影響を与えるのか」「司法が担うべき役割なのか」と言った観点で議論をしたことです。ブラジルで民主化運動をリードしている同級生がいたので実情を共有してくれました。
- 私はエッセイの課題の1つで、歴史的不正義”Historical Injustice”という主に植民地支配を想定したテーマについて、日本の水俣病の事例と結びつけて、提出したところ、「この事例は面白いね!」というセミナーリーダーのドクターの学生のコメントをいただきましたが、それがどう面白いのかはまだよくわかっていません。
- Economics for Public policy
- 経済学の授業は、自分が全く未経験だったこともありますし、専門用語ばかりが英語で飛び交う時間に非常に苦労し、セミナーでは全く議論に貢献することなく終わった科目でしたが、その分大きな学びを得ました。人によっては、4年分の内容を7週間で終わらせている、という人もいましたが、確かに毎週毎週のジャンプアップの激しい内容でした。
- 毎週事前に数時間の講義動画とリーディングが課され、月曜の朝8時半から動画の復習の任意の授業があり、その後Interactive Sessionがあり、水曜により実務や実際の政策に照らした講義があり、金曜に少人数のセミナーでディスカッションやゲーム、プレゼンをし、1週間を締めくくるサマリーの授業が任意である、という濃密な時間でした。かなり情報過多でしたが、わからないことは動画を見返せますし、聞きたいことを聞くタイミングがいっぱいある(実際はさらにOffice Hourもある)ので、間違いなく手厚いと言えます。
- 素人の私としては、合理的な選択とは何か、財政政策と金融政策にはどのようなツールがあるのか、なぜ国によっては貿易を行う方が効率的なのか、なぜ政策金利を上げたり下げたりするのか、なぜ政府の調達は難しいのか、といった基礎的なことを自分で説明できる素養が作れたのは非常に良かったと思います。
- アルゼンチンの景気対策についてどうフィードバックするか、というプレゼンが課されたセミナーでは、相手のグループにいたオーストラリア人の起業家が突然、アルゼンチンのハイパーインフレを体験できるゲームを始めてくれたり、互いに学び合う時間でした。
- 先日、成績の40%に反映される試験が終わりホッとしていますが、残りの60%は(他の科目での履修内容も踏まえた記述が出題されるから)数ヶ月先を予定しており、まだまだ勉強できそうです。
- Policy Challenge 1
- これは私の認識では、より横断的な分野の政策を学ぶ授業ですが、今年度は”Negotiation”に特化し、2週間で、15時間(もちろん他の科目と並行して)のキャンプのような必修科目でした。しかしかなり面白かったです。
- ”Negotiation”という科目は公共政策大学院ではよく聞くものな気がしていて、ただ以前は「交渉」という和訳で認識していましたが、この度履修してみてどちらかというと「折衝」または「調整」という趣旨なのかなと思いました。毎回複数のロールプレイ(政府と民間企業の調整だったり、さらに多極的に、国連と紛争当事国と石油会社と武装勢力に分かれて90分以内に結論を出せと言われたり)や、ケーススタディ(Brexit、LGBTの権利と宗教の自由の両立を実現したアメリカ・ユタ州、コロンビアの和平交渉)でふんだんにインプットと議論をしました。時々それぞれのケースの当事者だった方や研究者がゲストとして現れたり、コロンビアの裁判官の同級生が一部授業を担ってくれたりしました。
- 個人的には、Brexitに向けて、何度もEUと合意した内容が国内の議会で否決された英国の、国外との合意形成と、国内の合意形成のプロセスを批判的に学べたのは面白かったです。アウターとインナーの両方の折衝を同時並行で進めないといけない経験は、総務省でも多々ありましたし、そこに政策形成と運用の難しさがあると感じたからです。
Applied Policy Module
もう上記のCore Moduleでお腹いっぱいでしたが、BSGは、毎学期の最初と最後の隙間の1週間に1日〜数日の単発の授業を、これも必修で課しています。より応用的、横断的な実務に即した知見、またはスキル獲得の機会です。修士が1年で終わってしまうからこそ、必要な教育と、(多くが仕事を辞めて転職活動を本格化させていくことから)鍛錬の機会を提供してくれているものと思います。私は、
- Writing effectively for public audience
- Ready for run
- Managing International Organisation
- Doing business with business
の4つを履修予定で、ほぼまだ始まっていないので、次回以降レポートいたします。
Cluster他
さらに、各人の興味に応じて、教員主導の勉強会やレクチャーが行われます。これはクラスターと呼ばれていて、私はSocial Policyに加えて、もともとカリキュラムにはありませんでしたが、アルメニアの副首相補佐官をしていた同級生が仲間を集って立ち上げたPublic Managementの2つに属しながら、都度興味のあるセミナーなどに参加しています。
先日はSocial Policyの一環として、英国の国民皆保険制度であるNational Health Service(NHS、英国はこの制度で基本的に医療費が無料)の実務者が来て話をしてくれました。日本の公立病院経営と近しく、やはり自治体との連携に難しさを感じている点が印象的でした。
カレッジ、キャンパスライフ
オックスフォード大学を選んだ最大の理由はカレッジ制度です。慶応SFCの在学時は、かなり草の根的に、衣食住を共にする研究会に属していましたし、今SFCで滞在棟や寮が完備されてきているところですが、オックスフォードの900年間を経て進化し続ける学寮制度とはどんなものなのか純粋に気になっていました。
私はKellogg Collegeという1990年にできた、かなり新しいカレッジに所属しています。BSGの学生であると同時にケロッグの学生でもあります。私の場合はケロッグが家族寮を提供していなかったので、別の大学院の寮に住んでいますが、カレッジに住む学生も多いです。カレッジは学科問わず他の学生と接点を持てるコミュニティで、昼飯夕飯が食べられるダイニングホールやカフェ、自由に過ごせる部屋(コモンルーム)などがありカレッジ主催のセミナーも多数あります。
学部生は、伝統的にカレッジの中に専門のコースのチューターがいて、学科の授業と同時並行でチューターとの1〜4人ぐらいの少人数で議論を深めながら勉強していくもので、その指導体制が高い教育水準の理由の1つとされています。私がいるケロッグはそもそも大学院生のみで構成されているのでそう言った文化はありませんが、24時間使える図書館含め、勉強もプライベートも頼れるコミュニティとしてかなり気に入っています。チャールズ国王や国連の事務総長だった潘基文氏がフェローをしていて、講演されたこともあります。
入学式(Matriculation)もカレッジごとに行います。
カレッジの最大の魅力は「フォーマルディナー」です。どのカレッジも定期的に(頻繁に)フォーマルな食事会を企画していて、所属する学生が数名程度ゲストとして友人を呼ぶことができます。ハリーポッターのロケ地になるような、それぞれ威厳のあるホールとドレスコードに身を包んで、友人や席が近い他の全く異なる経験を積んでいる学生との出会いを楽しみます。私も子どもを風呂に入れて、MPPの友人などに誘ってもらって何度か行ってきましたし、自分のカレッジが割とご飯が美味しくて有名なので、友人を招待しました。
家族連れのみが参加できるファミリーフォーマルを開催してくれるカレッジもあり、招待していただいて参加してきました!
Student Representative(学生代表)に出馬
Representative (Rep)とは各コースの学生代表のことで、生徒会というよりは学生の自治をリードする立場で、大学の運営や意思決定プロセスに学生の意見を反映させる役割を担っています。しかし、MPPのRepは総勢8名分のポストが示され、内外のコミュニケーション・広報を担う担当や、卒業生との連携を担う担当など、多様な役割があります。学生全員の前でプレゼンをして、選挙で選ばれます。
1つのポストに、Community Development and Values Repがありました。私自身は、子連れでフルに学生間の交流に時間が割けなかったり、そもそも授業に追いつくので精一杯、というか全く追いつけない状況でしたが、漠然と興味を持ち、妻に相談したら「みんなに知ってもらえるいい機会だと思う、落選しても別にいいし」と言われて出馬することにしました。
このポストは、MPPの学生同士を結びつけること、Openであるだけなく、Inclusiveな機会を作ること、この大学院の価値観を追求することでした。私は家族連れでややハンデがある場面も多かったのですが、その気づきから、人種やジェンダーといった論点だけでなく、一人一人ここで勉強するにあたりいろんな壁を乗り越えてきていることを理解し、リスペクトできる1年間にしたい、とマニフェストを作り、プレゼンしました。プレゼンをする頃には、どうせ出るからには当選したいなと思っていました。そして当選することができました。
挑戦して良かったと思うことが多々ありました。まずプレゼン自体は結構みんなに響いたみたいで、すれ違うたびに感想を言われたり、握手を求められる日々が続きました。
また大学のスタッフ側の打ち合わせに同席する機会もあり、刺激を受けます。先日は私がInclusive担当なので、Equality&Diversity担当者の打ち合わせに同席し、(多様性が低い国の出身者としては)いかにワークライフバランスを改善するか(そのために組織内のミーティングの総数をどう調整するかとか)、多様な国・地域から学生が集まっているからこそ、複雑・困難なコミュニケーションをどう乗り越えるか(学生向けにWSもやっているが教員スタッフ間でも別でやっているよう)といったところを話し合っていました。
もちろんRepで一番贅沢な経験をさせてもらっていると思うのは、8人のチームで一丸となって取り組めることです。コロンビア人のリーダーをはじめ、スロヴァキア、ケニア、アイルランド、英国、アメリカ、そして日本人2人の構成です。毎週定例のmtgを開きつつ、毎週起きる良い事も悪い事もすぐに共有して「Repとして何かしなくていいか?」を全員が主体的に考えています。何より、一緒に勉強するだけでなくて、仕事をすることで、よく知り合うことができます。授業中はAmazingなみんなが自分で発信するAmazingな側面にひたすら感銘を受けますが、一緒に仕事をすることで見えてくるポジティブな側面もネガティブな側面も全部一緒に乗り越えていって、チームとしてAmazingになっていける経験ができるのはRepになったからこそ得られる経験だと思うので、頑張りたいです。
↑学期末のパーティの企画もしました。
Amazing people
ほとんどの人のInstagramはとてもアクティブで、同級生との写真を載せてはみんな”Amazing People”と形容します。もちろんこの環境で世界中のPublic最前線で活動する面々が集まっているのを見るとAmazingという言葉しかでてこないんですが、根暗な僕としてはAmazing Peopleの字面を見過ぎて何がそんなにAmazingなんだっけとなる事もあります。しかし、いざ同級生一人一人としっかり話していくと、本当にAmazingです。それはみんながNGOを引っ張って行ったり、政治のリーダーだったり、すごく知見が深かったり、ということよりも、ものすごく人格者だと思うからです。
ついこの前、オックスフォードで赤ちゃんが生まれた同級生がいて、一緒にお祝いしようと企画をしたウクライナ人の仲間がいるのですが、企画を終えて二人でほっと一息話していたら、急に僕にフォーカスして、「今回はありがとう。そもそも、あなたが育児をしながらここに通っていることが今でも本当に信じられない、すごいと思う」と言われ、逆に彼女は授業中ものすごく発言しているから(体感9割ぐらいの学生はいっぱい発言していますが、その中でもすごい発言してる)「逆に授業にすごい貢献していて尊敬するよ。僕はまだそこまで英語を理解したり、食い込んでいったりできないから来学期は頑張りたい」というと、悔しそうな僕を見て「周りと比べてはダメ。私も最初の1週間は周りの優秀さに驚いて黙ってたけど、今は間違えても良いから自分の言いたいことを言えば良いと思ってる。昨日の自分と比べて今日の自分が少しでも進歩していればいいの」と言われ私は涙ぐみました。
僕が2人育児しながらRepもやっていることに負担が大きすぎないかと心配してくれる人もよくいて、とあるコロンビア人は僕の顔が疲れているように見えるからか”Are you happy?” と率直に聞いてくれました。happyだと答えると、”Good. That is the most important thing, isn’t it?”と言われ、うむその通り、と思いました。また別のフランス人の同級生は、またカフェで僕がすごい顔で勉強してるのを見てか、急にコーヒーを奢ってくれました笑。
今、この空間では、積極的か消極的か、や意識が高いか低いか、モチベーションがあるかないか、ということではなくて、誰しもが当然に行動し、考え、全てのチャンスを自分の責任でどこまでカタチにできるか、に焦点が当たっている気がします。そして、リーダーであったり、ボスであったり、パブリックのど真ん中にいたり、メディアで強い発信力を持っていたり、「人前に立つこと」の苦しさや楽しさを理解している面々が揃っているからこそ、お互いの行動や考えに、非常にリスペクトや共感を持っていると思います。
さて、長くなりましたが、日常生活は鍵付きInstagramなどで発信しているので、友人知人の皆様はぜひご笑覧ください。また英国に来られる際は必ずやご連絡ください。
次は来学期の報告ができれば良いなと思っています。